全くな、33歳にもなって実家に帰る度に、本気でブチ切れる俺にもホトホト愛想が尽きるんだが...。長男ともあろうものが、家族との距離感がこんな風ではうちの家系は遅かれ早かれ絶える。そういうプログラミングが遺伝子に組み込まれているとしか思えない。
ピリピリしながらもそれでも実家に帰らなければならない時もある。実は実家が引っ越すことになって(夜逃げではないですよ)、まあ、テメエの私物をだな、そうそうに引き上げろ、と。そうでなきゃバンバン捨てるぞ、と。新渡戸稲造似の父が言うのだ。「あー、そうですかどうぞどうぞ」と切り返せばカッコいいんだが、また出ちゃったよマジ切れ。
「なんだとコラ!捨てるんじゃねえ!引っ越すのはテメエらの都合だろうが、今月は忙しくてそっち行けねえって言ってんだろ!」
「テメエとはなんだテメエとは!!おお、分かった。髪の毛一本、塵一つ、お前の痕跡はナノレベルまで残らねえと思え」
ガシャーン!!
...実際はこんな寺内貫太郎一家みたいな熱いやり取りがあれば、実に微笑ましいが、うちは精神戦。電話口でもっとネチっこい嫌味の応酬を繰り返すうち数週間が経過して行った...。だが、いよいよ引っ越しの日も近づき、とうとう行かざるを得なくなったのだ。そう、トラウマだらけの思い出とは言え、それをキッパリ捨て去れない俯き加減の男よ!ああ、俺!たかだか段ボール3?4箱のゴミも君という人生を、人格をつなぎ止める錨なのだ。
あー、輝かしき青春時代の少し色あせたアルバムが数冊、それが小粋なトランク一つに入っていて、「これが僕の青春の全てです」とか言いたい。
あ...、なんか今、水森亜土風のイラストが頭に浮かんだぞ!?そんな風景はいまや「詩とメルヘン」の世界にもあるまいが。
ただでさえ辛い実家訪問と、血膿にまみれた包帯だらけの己の過去に対面しなければならないのだ。もうこりゃトーチャーですよ。父ちゃん、じゃない、トーチャー。拷問。段ボールから出てくるのは、ゴミのようにビンテージなゲームウォッチとアナクロ時代のコンピューターソフト(半分はカセットテープ!)の山。趣味の悪いロックンロールとブルース、ソウルのレコードやカセット(ブルース聞くのにジョニー・ウィンターはねえよな)。あと書きなぐったノートが数冊。そんで、縄文土器...え?これはクリスマスパーティのプレゼント交換で当たった品。とどめに今では音信不通になった沢山の友人達の手紙。死にたくなるね。俺の青春は糞だった。糞。ピース オブ シット。涙が出たよ。あまりの刺激臭にな。
そんなゴミの中に俺の目をひときわ惹くものがあった。コピー用紙に赤ペンで裏書きされたメモ。
そこにはこうある。
「ツルゲーネフ 『父と子』 純文学史上初めて登場したニヒリストの若者・バザーロフ」
な、何かが俺の脳をまさぐる...。せや、あれは高校卒業直前...。いや、ちゃうやん、ちゃうやん、ほんまは友達みんな卒業した後やがな。俺一人学校に呼び出されててん。うららかな春の午後、俺は職員室で5?6人のコワモテの体育教員そして1年生の時の担任と3年生の時の担任をずらりと目前に並べ、冷や汗をかいている。
「お前には本当にガッカリしたよ」
「俺ら体育教員だってプライド持ってやってんだ。お前ごときにコケにされて...」
「調子に乗んなよお前、進学取り消すのだって簡単なんだぞ」
あー、書いててイヤになってきた...。続きます。
Commented by vjcomiccut at 2006-02-20 04:10 x
あ、でもこのタイトル、うちの親父と俺の話じゃないです。